人間は生物の霊長として、全ての生き物達が、幸せに楽しく過ごせるように、環境を整えなくてはならないと思いますし、天元教でもそう学んでいます。
我が家にも巣立ち間際の子どもたちがおり、カラスが子どもの食糧を街中で必死に得ている場面を目の当たりにし、エッセイにまとめました。
5年ほど前、我が家の隣にワンルームマンションが建った。住人は、学生などの若い世代が多い。建物に面する南北の道幅は狭くて、車が通れない。
したがって、ゴミの収集日には、我が家の東西に面する道路(収集車が通る道)の東角地に我が家のゴミと一緒にマンション住民のゴミが置かれるようになった。
問題なく収集されることがほとんどだが、時々カラスの悪戯に遭う。
使用済みのティッシュや、マスク、サニタリー用品までもが道路一面に散乱してしまう。
その中に紛れて、コンビニ弁当の腐ったチャーハンやソースがべったり付いた揚げ物、延びきったカップ麺の残りなども派手に広がっている。これがカラスの目的だ。
確かに、若い人達のゴミの出し方の甘さには問題がある。しかし、きちんとやっているはずの我が家のゴミでさえ、うっかりするとやられることがある。
それでは、袋を破って散らかした、カラスが悪党なのだろうか?
カラスの悪戯には、はなはだ迷惑しているのだが、少し心配にもなる。こんな塩分の多い物を食べて、鳥の体は大丈夫なのだろうかと。
そして、そもそも悪戯なのかと。
ふと、カラスの側に思いを馳せ、子どもの頃口ずさんだ唄を思い出してみる。
からす なぜ啼くの からすは山に
可愛い七つの子があるからよ
可愛い 可愛いとからすは啼くの
可愛い可愛いと 啼くんだよ
山の古巣へ 行って見て御覧
丸い目をした いい子だよ
コンビニの、塩辛い残飯を、それでも、丸い目をして待っている子らの為に持ち帰ろうと、袋を突いて、空高く飛び立っていった。
それを見届けてから、『ごめんなさいね。一番いけないのは、あなた達の住む環境を壊した我々人間達よね。』とつぶやく。
そして、箒と、ちりとりを取りに、私は我が家へ駆け戻った。
いい子か、どうかは疑わしいが、丸い目をした巣立ち間際の可愛い子らが、我が家にも居る。
おやぶん 60代 4児の母